2011/10/15

クラス/インスタンス関係と型/値関係をゆる~くしてみよう

こんにちは、ページビュー二進数表現でオール1になってご機嫌な@tomoodaです。ツ 今回はクラスについて、オレオレ定義を垂れ流してみます。

あらかじめお断りしておきますが、このエントリに書いてあることは一般に認められた用語定義とは異なっています。 特に学生さん、テストでこのエントリに書いてあることを答えたら、講義をこれっぽっちも聞いてないことがバレてしまうから、要注意ですよ!ツ

基本的にオレはオブジェクト指向な人間で、関数型言語とかは昔やってたけど今はド素人なので、プログラミング言語を網羅している訳ではありません。 しかも、そのオブジェクト指向というのも、一般に知られているオブジェクト指向というよりオレオレOOなので、あんまり頭から信じ込まないでくださいね。 そういう考え方もあるのかもねー、ぐらいな感じでよろしく。

さて、オブジェクト指向というと、一般の入門書とかでは、まずクラスというオブジェクトの分類があると説明すると思います。 オレはそこがマズいと思ってて、それでオブジェクト指向=分類という先入観を持たれてしまう。 クラスがオブジェクトを分類するなんて、オレは全然そうは思わないのです。 もちろん、クラスという言葉は分類を意味しています。つまり、クラスとは分類。

なーんだ、やっぱオブジェクト指向は分類じゃん、と思うかもしれません。 クラスは分類なんだけど、何を分類しているかが問題なのですよ。 オレは、クラスは「振る舞い」を分類するものだと思うのです。 そう、クラスはインスタンスを分類するものではないと思うのですよ。 オブジェクトを分類するのではないから、クラスはオブジェクト指向の本質ではない、と思うわけです。 そして、クラスがオブジェクト指向の本質でない以上、オブジェクト指向は分類学ではない、ということになります。

システムの中には色々なオブジェクトがいます。 それらのオブジェクトに色々な「振る舞い」が定義されます。 クラスは、その「振る舞い」を分類するものなんです。

例えば、悪名高い、動物の例。動物クラスと犬クラスと猫クラスがあります。 これらのクラスは個々の動物を犬とか猫とか動物に分類するんじゃないんです。 個々の動物の色々な振る舞いを列挙してみましょう。 散歩したり、マーキングしたり、ブロック塀に上ったり、フリスビーをくわえたり。 これらの振る舞いを、これは犬の振る舞い、これは猫の振る舞い、これは動物一般の振る舞い、と分類するんです。 それがクラスだと思うのです。

単に振る舞いをまとめただけだから、分類学じみたことなんて必要ないです。実装上の便宜で適当に決めていけばいいです。 実装継承バンザイ。いいんですよ、それで。

でも、Javaとかにはクラス型ってあるでしょ?メソッドの引数が犬クラスだったら犬しか受け取らないわけだけど、これって、オブジェクトを分類してるんじゃないの?と思うかもしれません。 はい、クラス型はオブジェクトを分類します。 でも、それは本来、クラス型の「クラス」部分が分類してるんじゃないんです。 クラス型の「型」部分が分類しているんです。

型とは何か、というのは色々な角度から色々な定義があります。 ある時は、値の集合と定義されます。またある時は、ビット列の解釈だったりもします。また、関数との関係の中で型を定義する考え方もあったりします。 また、抽象データ型のように、情報のアクセス管理という側面もあります。 ここでは、型はとりあえず値の集合ということで、話を進めていきます。

型が値の集合なら、型とは、どのような値がその要素として含まれるのか、その条件こそが型の定義ということになります。 その条件の中には「偶数」みたいな条件もあるかもしれません。 「1から10までの整数」ってのもアリでしょうね。これはPASCAL等で実装されている、範囲型と呼ばれるものですね。 また、「スロットが2つある」というように構造に関する条件をつけることもあるでしょう。 さらに、「散歩する」というような振る舞いに関する条件もあるでしょう。これはJavaで言えばインターフェイス型みたいな感じですね。

もっと単純に、「犬クラスのインスタンス」という条件とかも考えられますねえ。これがクラス型の正体です。 さらに言うと、Javaのインターフェイス型は、振る舞いに関する条件を定義するのですが、直接この条件で値を分類しているのではありません。 この条件を満たす「クラス」が、「オレはこのインターフェイスを実装しているぞー!」と宣言をし、かつ、その宣言通りかチェックされ、そのチェックに合格したクラスのインスタンスであれば、そのインターフェイス型の値として認められます。 言ってみれば、「このインターフェイスを実装していると自他ともに認めたクラスのインスタンス」という条件です。 つまり、結局はクラス型による分類をしているということです。

では型は値を分類するものだとして、何のために分類するのでしょうか? それは、意味論的に正しいプログラムを記述するためです。 より正確に言えば、意図した通りに動作するプログラムを記述するために、プログラムがどのように振る舞うかを理解できるような仕組みが必要で、そのためにはプログラムの中で使われる様々な値がどのような性質を満たすのかを理解することが必要です。

型は、値に関する性質を理解可能なものにするための、骨組みとなるものです。 値に型がつけられているから、その値の性質がわかります。 そして、プログラムがその型が決めている性質を守るかどうかを確かめるための判断材料になるのです。 静的型付けは、プログラムを動かす前から(つまり静的に)値に型を結びつけることで、どのような振る舞いをするか、実行する前から理解できるようにするための技術と言えます。 一方で動的型付けは、プログラムを動かしている時になってはじめて(つまり動的に)値に型を結びつけることで、事前にかかる拘束を最小限にしながら、プログラムが動いている最中にその性質を理解できるようにするための技術と言えます。

プログラムが正しく動作するために値の満たすべき条件をまとめるのが型だとすると、当然、全体を見通した分類が必要です。どのような値がありえて、どのような値が望ましいか。どういう条件をつけたら正しく動作するのか。どういう条件を設定すれば拡張しやすくなるか。保守が楽になるのか。 分類学とは違いますが、型をしっかり考えて定義することが大切だと思います。 もちろん、実装継承はやめておいた方が良さそうですね。ツ

こうしてクラスと型を見比べてみると、全然別物だということが理解いただけるでしょうか? 振る舞いの分類と、値が満たすべき性質。 クラスは振る舞いの塊で、振る舞いを系統的なものにします。 型は述語の塊で、表明を系統的なものにします。 表明は振る舞いの仕様であり、振る舞いは表明の実装ですが、これら2つを1対1に結びつけるのではなく、 1つの型を複数のクラスで実装してもいいですし、1つのクラスの仕様を複数の型で規定してもいいでしょう。 表明のまとめかたと、振る舞いのまとめかた、これらは本来別々でもいいんじゃないでしょうかね?

そう考えると、クラス型だけでなく、動的型=クラスという動的型付けオブジェクト指向言語も、やっぱり変だと思います。 型とクラスとはもっとゆる〜い関係なほうがいいと思うのですよ。 それに、動的型、つまり値と型を固定的に束縛するのではなく、もっと動的、ダイナミックに対応付けたら面白いと思うのです。 どうせ型は表明の塊なら、色々な粒度の型を色々と定義して、実行時にある式の値がどの型の条件を満たすのか、それを定義してみると面白いかもしれません。

ってなものが、オレの思うクラスと型の関係です。うまくいけばそのうち、クラスではない、動的で型と値の関係をゆる~く結びつけるような「動的型」をPGeneに実装して、公開する日が来るかもしれません。ツ

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