オブジェクト指向という言葉が陳腐化して、もうずいぶん時間が経ちましたね。 もうオブジェクト指向は終わった、とか、色々な事が言われています。 オブジェクト指向は本当に終わったんでしょうか?
残念でした。オレにとっては、オブジェクト指向ってのは、これから愉快痛快な展開で面白くなってくるコンセプト。ツ 皆が「終わった」と言っているのは、オブジェクト指向を実現するために使えそうな数多くの技術のうち、 とりあえずということで仮採用したプログラム構成技術の1つにすぎないと思うのです。
さて、では本題。オブジェクト指向って何?
オブジェクト指向とは、計算メディアを使っている人が認識したモノに対してプログラミングをすること、だと思っています。 例えば、このブログに表示されている著者近影のイラスト。眼鏡をかけているのに気付いたでしょうか? 今、あなたは、イラスト中の眼鏡を認識しました。この眼鏡に対して、「レンズの色はヴィヴィッドピンクがいいな。」というメッセージを送って、眼鏡がそのメッセージを受け取って、レンズの色をヴィヴィッドピンクにするのがオブジェクト指向です。
「おいおい、それはオブジェクト指向じゃなくてフォトショだろ!」と思う人が多いことは重々承知しています。ツ その上で、あえて、「そうだね、フォトショはオブジェクト指向から多大な影響を受けたし、グラフィカルなUIでオブジェクト指向を実現するには、画像処理とか画像認識は非常に強力な武器だと思うよ。」と答えます。
つまり、オブジェクト指向というのは、
という一連のプロセスから成っています。一方、巷で「終わった」と言われているオブジェクト指向とは何でしょうか? 情報工学系の技術書ではよく、オブジェクト指向=継承+カプセル化+多態、とか言われたりしますね。 で、クラスベースオブジェクト指向ではクラス階層を使って、プロトタイプベースオブジェクト指向では委譲連鎖を使います。 でも、これって、上に挙げたオブジェクト指向のプロセスの後半だけの話です。
オブジェクト指向の技術書ではまず必ず、メソッドについて言及がありますが、これすらオブジェクト指向そのものにとっては本質ではありません。 受け取ったメッセージに対応するメソッドを探索することは、とりあえず採用している仮の仕組みに過ぎません。 現にSmalltalkやRubyでは対応するメソッドが無くても、対応する処理を記述することができます。
これからオブジェクト指向を本格的に実現していくためには、むしろ前半の仕組みが必要です。 ボタンを押したらダイアログが開く、とか、変数で掴まえた「オブジェクト」にメッセージを投げる、で満足するのは20世紀で卒業しなくっちゃ。ツ 21世紀のオブジェクト指向は、もっと人間の認知に迫ることが必要なんです。 人間が注目している対象を「掴む」ための、入力デバイスや画像認識や自然言語処理や音響認識が必要です。 そして、「掴んだ」対象にメッセージを送るための、インターフェイス上の「言語デザイン」が必要です。 そろそろAltoを越えましょうよ。
オブジェクト指向の研究開発の軸足は、ソフトウェア工学から認知科学、言語学、機械学習、インタラクションデザインに移っていきます。 どうです?オレはワクワクドキドキが止まりませんよ? ツ
阿部さんによる秀逸な解説
返信削除簡単だけど奥深い!Scratchプログラミングの魅力 第1回オブジェクト指向プログラミング
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20111019/371081/